お彼岸に少し早い今日、父の17回忌を菩提寺の念速寺で行いました。
親戚が高齢になって身体の自由がきかなくなった人が増えたので、
参集いただくのはやめにして、家族だけで法事をすませました。


この寺の墓地には、文京区指定史跡の「美幾女墓」があります。
(詳しくは説明プレートを読んで下さい。クリックすると別窓で拡大表示されます)
墓石に刻まれた美幾女の文字は
風雪でかすれてしまっています。
保全のためか、お墓は今年から
アクリル・プレートで覆われてしまいました。
この界隈(文京区白山、旧戸崎町)だけは空襲で焼夷弾が落ちなかったそうで、
わずかですが、古いたたずまいが残されています。
そのおかげで、我が家の先祖代々の墓もそのまま残っています。

今日は、都内あちこちでお祭りがありました。
念速寺の目の前でもお神輿と太鼓が
出されていました。
地元の方々の顔もなんとなく
晴れ晴れしています。
お昼ごはんは、予約しておいた飯田橋筑土八幡町にある
「京都祇園 和RAKU」
でとりました。
厚生年金病院の真裏にある、日本家屋をそのまま使った和食のお店です。
通りから入った細い路地の突き当たりのお屋敷がそうですが、
メニュー板が出ていなければ決してわかりません。
木戸をくぐると庭の奥に家屋があり、アプローチを真っ直ぐ進んだ奥が玄関です。

左:お店の入り口。木戸の脇には表札と郵便受けがそのまま残っている
右:玄関からアプローチと木戸を望む

予約してあったので、
庭に面したテーブルに
案内してもらえました。
狭いながらも山水風
なんですが、
残念ながら、手入れが
あまり行き届いていない
ようです。
他のお客様も多かったので、店内の造作の画像が撮れなかったのが残念です。
二階家ですが、いわゆる戦後の山の手の和風建築です。
和室4部屋を、襖(ふすま)をはずしてそのまま利用しています。
欄間(らんま)、砂壁状吹き付けの壁、さるすべりの床柱、神棚など
昭和40年代の意匠のようです。
アケちゃん(嫁)は、土地柄、もとは置屋(おきや)さんだったんじゃないか
と推理していました。
うん、なかなか鋭い。
1階は畳敷きの上にじかにテーブルと椅子を並べています。
いわゆる流行(はやり)の隠れ家風レストランの趣(おもむき)で、
女性に好まれそうです。
ランチタイムということもあり、9割は女性グループでした。
ほとんどの人は、コースではなくアラカルトをオーダーしていたようです。

わたしたちは、
あらかじめ「和のランチコース」を
予約してありました。
アラカルトのメニューは、
千代紙を表紙にした居酒屋風のもので、
ちょっと安っぽい感じがしました。
コースメニューも、
和紙風の紙にパソコンでプリントアウトして
ラミネート加工してあるもので、こちらも安っぽい感じがします。

左:先附が置かれたお盆。
右:箸置きはかわいらしいウサギ。十五夜にちなんだのか?

先附(さきつけ)
無花果(いちじく)の胡麻(ごま)浸しと
牛乳豆腐、茗荷(みょうが)と香草添え
さっぱりした上品な味です。
牛乳豆腐は、しっとりもっちりした
舌触りが京風でした。

造り
カンパチ、戻り鰹(かつお)のタタキ
カンパチは一般的な味でしたが、
カツオは柔らかくて火加減が絶妙でした。

小鍋
焼き目のついた鱧(はも)のカツオ出汁(だし)卵スープ
こちらも焼き目が程よくついていて、
焦げ目はありません。
スープはカツオ出汁が強めで、京風というより
関東風の味付けでした。

焼物
新秋刀魚(さんま)の黄身酒盗焼き
三枚に下ろしたサンマの皮目に
酒盗を混ぜた卵の黄身を塗り、
オーブンで焼いたもの
あらかじめ身を巻いてから焼いています。
火加減が抜群で、油が程よく落ちて、
中までしっかり火が通っているのに、皮は焦げていません。
大衆魚のサンマとは思えない上品な味に仕上がっていました。
付け合せはレンコンの酢漬け、サツマイモの煮物と焼きシメジ
レンコンもサツマイモも歯応えのある煮あがりで、味がよく染みていました。

煮物
南瓜(かぼちゃ)饅頭(まんじゅう)の
クラッカー揚げ べっ甲飴かけ
白髪葱(しらがねぎ)添え
かぼちゃのまわりに、ワンタンの皮
のようなものを巻いて揚げたものに
餡(あん)をかけてあります。
かぼちゃの甘味とほくほくした感触と、揚げた皮のクリスピーな歯触りが好対照でした。
餡は塩味がきつく、こちらも京風というより関東風です。

食事
舞妓飯と味噌汁、御新香(おしんこ)
舞妓飯はまいこはんと
読ませるのでしょうか?
山椒(さんしょう)の効いたジャコの
ふりかけがのったご飯と、味噌汁です。
味噌は西京味噌ではなく、
一般的な白味噌でした。
カツオ出汁(だし)が強く効いていて、こちらも京風とは言い難いでしょう。

デザート
マンゴープリン、コーヒー
マンゴープリンは酸味がおさえられていて、さっぱりした味です。
残念ながらコーヒーは、淹れてから
時間が経っていました。
独立した日本家屋をそのまま店に使うというコンセプトは悪くないのですが、
チェーン店ゆえの行き届かなさというか、プロの目配りの不足というか、
どこか上っ面だけをとらえた印象が拭いきれませんでした。
料理に関しては、和食としては焼き物に秀でたものを感じたのですが、
椀物の出汁や味付けはお世辞にも京風とは言えず、
盛り付けもありきたりで季節感や遊びが感じられず、板前の仕事が見えてきません。
味は決して不味(まず)くないのに、本物の味を追求するよりも
雰囲気重視の過剰な演出が表に出ているようで、
かえって馬脚を現してしまっているように思えてなりませんでした。

「承知いたしました。大御台所さま」
最近は、この上から目線がかえって快感です。
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