2008-02-09

「資金に余裕があればやりたい」ものって、

今朝(2月9日)の日本経済新聞NIKKEIプラス1(土曜版)1面に、「資金に余裕があればやりたい」ものを読者アンケートした結果が記事になっていました。

1位 海外旅行
2位 ゴルフ
3位 英会話
4位 株式投資
5位 乗馬
6位 ピアノ
7位 スキューバダイビング

日経生活モニターにインターネットで調査し、1,769件の有効回答だったそうです。
母数が小さいので、これを世間一般の傾向に敷衍するつもりはありません。
日経新聞の読者ってだけで、ある種特定の階層に切り分けられてる気もするし。
とはいえ、世間一般のサラリーマン、OLの考えとそうかけ離れてるわけでもなさそうです。

で、僕が注目したのは、7位のスキューバダイビング。
昔、この業界にいたことがあり現在も趣味で続けている身とすれば、屋外レジャーとしてゴルフ、乗馬に続いて3番目にでてきたことに、ちょっと驚きを感じます。

その理由の第一は、ダイビング・ブームってバブルの崩壊とともに終わったと思っていたから。
理由の第二は、今でも「資金に余裕ができればいつかやりたい」憧れの対象だということ。
でも、「今度といつかはやってこない」とも言います。
裏を返せば、
「今は生活にゆとりがないから手を出すつもりはない。多分、将来も本気で始めようとは思わない。」
という本音がチラリと透けて見えるような気もします。

ともあれ、世間一般の常識として、ダイビングがゴルフ・乗馬に続いてカネのかかるレジャーだという認識が今も正しく定着していることに、正直ホッとしています。
乗馬はやったことがないので言及しませんが、ダイビングは、ゴルフに比肩するほど初期投資もランニングコストもけっこうかかるレジャーであることに間違いありません。

でも、その認識を逆手にとって(特に若年層をターゲットに)講習費を安く設定して客を釣り、器材を高値で押し売りして利益を回収する悪質商法の温床になっているのが、悲しい現実です。

こうしたショップが横行するため、ダイビングの講習はレンタル器材で、購入するのは経験を積んでから、という見方が(特にネット上では)大勢を占めているようです。
ゴルフを定期的に楽しむ人で、自分の用具やウエアを持たずにレンタルですませている人って、どのくらいいるんでしょう?

集客のために講習費を安くして、競争が激化する。
週末に手軽に取れるように、講習の時間を短くする。
講習内容が薄くなるので、質が低下する。
採算が取れないから、器材の販売で利益を回収せざるを得ず、悪質な商法の温床となる。

これって、雪印やミートホープを始めとする原材料への偽装工作や、食品や再生紙の偽装表示、更には輸入食品の安全への信頼の崩壊と同じ構造じゃないでしょうか?
低価格と利便性への過度な圧力が、要求品質に見合った適正な価格と乖離してしまったことが原因だとすれば、消費者が自らこの不健全さを生み育て、結局損を被っている気がしてしょうがありません。

ダイビングショップが「手軽に始められる」と謳い大衆化を計った瞬間から、ダイビングは贅沢な余暇ではなくなり、紳士淑女の居場所が狭くなってしまいました。

ゴルフ・乗馬がどちらもイギリス貴族の楽しみから発達したのに比べ、ダイビングはアメリカの退役軍人から広まったという、そもそもの発祥の違いがこうした結果を生んだ、と考えるのは見当違いでしょうか?

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