2011-11-21

青年団「ソウル市民1939恋愛二重奏」 &わちお来ました

晩秋と呼ぶにふさわしい季節になりました。
最低気温が10度を下回る日が増えている東京23区周縁です。








ここのところ数日おきに姿を表しているわさお似の通い猫わちお(年齢性別不詳)が
今日は午前中に登場しました。








目の周りがすっきりしています。








体もきれいです。








画像には写っていませんが、左耳の後ろの傷もほとんど治っていました。








珍しくわちおがしつこく鳴くので、
サンゴこと刈谷ノ三五郎愛助(4ヶ月、オス、黒)が様子をのぞきにきました。








やっとアケちゃん(嫁)がエサを持って来ました。








とたんにおとなしくなったわちおです。








夜は青年団「ソウル市民5部作連続上演」を見てきました。
見たのは新作「ソウル市民1939 恋愛二重奏」です。

大いなる災厄へ刻々と突き進む「外側」の世界と、
円環する安穏な日々をミルフィーユのように重ねる小さき「内側」の篠崎家。

ソウル市民5部作での「外側」とは、日本という「国家システム」が
明治中期から昭和にかけて膨張させ続けてきた狂気です。

そして、この5部作では必ず
篠崎家の関係者がつくる「内側」の場に、
篠崎家を訪ねてくる訪問者という「外側」が対比的に登場します。

外からの訪問者はどれも偽物くさく胡散臭い。
でもそれは、無邪気で平和な「内側」の嘘くささと重なり合います。

さらに、前作の「ソウル市民1929 昭和望郷編」からは、
世界の歪みに自覚的になって「外側」から帰ってくる
元「内側」の人が登場するようになります。

平田オリザ氏は外界への扉である玄関への通路を中央奥に、
内側である台所や部屋へ続く廊下を上手奥に配置しました。
しかし、客席からは玄関も台所も見えません。

「外側」と「内側」の接点である居間兼客間だけを舞台に乗せ、
「内側」の歪みに気づかない当事者を通して、
「外側」の過ちをあぶり出し続けています。

それは、善意にあふれた家族の無自覚な差別感覚、厳然とした身分階層という
形でまず提示されます。

さらに、
第1作では「内側」の均衡にだけ腐心し訪問者を無視する人々の奇妙さが描かれました。
第2作ではソウル(京城)こそ古里と言う日本人を通して、民族と国家の
基盤のあやふやさがあぶり出されました。
第3作になると、なにをもって本物とするのか、という疑問が世界の成り立ちを
逆転させました。

そして今回見た「ソウル市民1939 恋愛二重奏」では
そうした世界のありようを提示するだけにとどめていた前3作とは異なり、
閉塞と停滞に気づいた家族が初めて円環をほどこうとささやかな決意を表明し、
未来への視線を示すに至ります。

日本兵として志願し出征する元書生の朝鮮人のために朝鮮人店員が歌う「愛国行進曲」、
志願兵がポツリと漏らす「ありがたいことです」、
帰還兵の娘婿が最後に妻に語りかける「やっぱり、すき焼きは篠崎家がいちばんだな」

この舞台の凄さは、平田オリザが作ろうとする様式を
役者の力量がきっちり支えているところにあります。



この晩は、バンコクの大学でのアンドロイド演劇が洪水で中止になったため
日本にとどまることになった作・演出の平田オリザ氏のアフタートークもあり、
この脚本を執筆したきっかけ、意図などを語ってくれました。
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1 件のコメント :

  1. 「ご」⇒「は」⇒『ん』の3枚目の写真でほっぺたが
    崩壊!痛くなるほど(わっちぃ姐さんには悪いけど)
    笑ってしまいました~
    セリフがぴったりはまってます↗

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