2008-01-24

居酒屋にて思わぬ酒と会う(2) 『国権 春一番 本醸造 しぼりたて』

先日紹介した「麓井 輝ら星の如く 吟醸生 おりがらみ」を飲んだ居酒屋で、同じ晩に飲んだもう1銘柄です。

「国権 春一番 本醸造 しぼりたて」国権酒造株式会社 福島県南会津田島町)

通常は2回行なわれる火入れをせず、瓶詰めしている生酒なので、冬にだけ出荷される季節限定品です。

本醸造と銘打っていますが、精米歩合は60%。
吟醸と名乗っても構わないのですが、この蔵元さんは精米歩合35%を大吟醸、40%を吟醸と名付けるこだわりを持っています。

「麓井 輝ら星の如く 吟醸生 おりがらみ」は、滓下げ(おりさげ)前の濁ったお酒ですが、こちらは滓下げ濾過の工程を経た、いわゆる清酒です。

桜の花びらが描かれたラベルと春一番というネーミングから、穏やかでまろやかなイメージを想像していましたが、口に含んでみると意外な重さにまず勝手な思い込みを反省させられます。

ほんのりやさしく香る上立香(うわだちか)*は甘くてフレッシュで、この時期だけの新酒らしさを感じさせてくれます。

口に含むと、舌に甘みと酸味を強く感じます。やがてやってくる辛味も強めですが、どれもが同じ強さなのでバランスがよく、決して下品な強さではありません。
また、喉越しでわずかに混じる枯れ草のような香りが後味を引き立てています。

僕は、ひと口飲むとしばらくは口に何も入れたくなくなる酒や、辛い肴で口を直したくなる強い酒より、穏やかでふっくらしていてわずかに甘口の酒の方が最近の好みなので、上記両者を飲み比べた限りでは、「麓井 輝ら星の如く 吟醸生 おりがらみ」の方が僕の好みに一致している気がします。

*上立香(うわだちか):酒を近づけたときに鼻先に感じる香り。

DATA:
「国権 春一番 本醸造 しぼりたて」
使用米; 五百万石
精米歩合; 60%
日本酒度; -3.0
酸度; 1.6
甘辛度; 0
アルコール度; 19.3%

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